The Country of the Working Class
いつも誰かの視線を感じる
なぜ、日本人は、自分と少しでも違う者に敏感に反応するのでしょう?
日本人同士ですら、常に〈正統派の普通人間〉でいるよう、学校や社会からはみ出さないよう、〈ちゃんと普通〉で、〈世間体を守る〉ように、とても気を配っているように見えます。
そこから少しでもはみ出そうものなら、やれ「空気が読めない」だの「暗い」だの「ダサい」だのと、すぐ変人扱いです。ちょっと皮膚の色が違ったり、耳が大きい、太っているといった身体的な特徴はいうに及ばず、また個性的な趣味などを持っているだけでも大変です。それをネタにからかわれたりするからです。日本は、個性的に、自分らしく生きようとすることが難しい国だなという印象があります。
そもそも人間は、誰ひとりとして同じじゃないのに。
ですから、外国人が日本に住むのは本当に大変! 街中でも、電車でも、銭湯でも、いつも視線を感じます。あまりひどい場合はこちらもにらみ返しますが、するととたんに視線をそらし、すれ違った後にまだ振り返って見ていたりします。そういう人の中にも知りあってみると、意外といい人だったというケースもあるにはあるのですが。
日本に来てしばらくは、まださまざまな習慣の違いになじめないこともあって、〈ガイジン特別扱い〉には多々、助けられたことも事実です。しかし、現在は日本語の勉強をがんばったかいがあって、日常会話ぐらいはできると自負していますし、日本人の夫もいるというのに、いまだに私は、ひとりではレンタルビデオショップの会員になることすらままなりません。理由を尋ねても、納得のいく答えは何ひとつ返ってきませんでした。