私は日本へ来てから、日本人の識者の方々がイギリスについて書かれた本をいくつか読んでみました。そうしてわかったのですが、それらの本は嬉しいことに、私の祖国への礼賛に満ちていました。どうしてこんなにイギリスが好きなのかと思うほどで、私自身が恥ずかしくなることもありました。
しかし、その反面で私は、これは本当のイギリスではないと言いたくなるのでした。書かれていることは本当ですが、それはイギリスのほんの一部のこと。私たちワーキングクラスとはほど遠いミドルクラス(中流階級)middle classかアッパークラス(上流階級)upper classの話ばかりなのです。
ですから、このブログで、私は自分の出身であるワーキングクラスの暮らし方lifestyleを紹介していきます。
たぶん、それは日本のみなさんには初めて聞く話が多いでしょう。なんだ、イギリス人て、こんなにけちくさいのかと思われるかもしれません。でも、それは、いまのみなさんの生活にきっと役立つはずです。なぜなら、いまの日本は「イギリス病」と同じような深刻な不況に陥っているからです。
私が見るかぎり、いまの日本人は、初めて体験する長い不況のなかで、自分たちの生活をどうしたらいいのか悩んでいると思います。いままでたくさんあったお金がなくなって、お金では買えない幸せは何だろうと、考えているのではないでしょうか?
イギリスにはこういう諺があります。
Money is the root of all evil. (お金はすべての災いの素)
イギリス人は、とても親しい人以外、宗教、政治、セックス、お金の話をすることを好みませんが、私の言いたいことを伝えるために、このブログでは、お金の話をせざるをえないので許してください。
ともかく、普通のイギリス人の家も生活も、日本のみなさんが思っているほどゴージャスではありません。でも、ある意味では日本よりずっと豊かであるといえます。それは、この諺が私たちの暮らしに、大昔から染みついているからです。
日本では、どうでしょうか? あなたは、お金がないことは、人生で最大の不幸だとは思っていませんか?
イギリスのワーキングクラスの人々は、過去をふり返るときによくこういう言葉を口にします。
We were poor but we were happy. (私達は貧乏だけど幸せでした)
このブログを読んで、この言葉の意味がわかっていただけたら、私は幸せです。