Out of dust piles grows a mountain. ちりも積もれば山となる
どうして環境のことを考えないのだろう
最新の望遠鏡で夜空を眺めると、だいたい140億光年先まで見ることができるそうです。にもかかわらず生命が存在しえる星は、太陽系はもちろん、ほかのどこを探しても皆無であろうと考えられています。それでいくと地球は、まさに「奇蹟の星」と言えるでしょう。以前日本のテレビで、『宇宙船地球号』という番組名を耳にしました。まさに地球は生命という乗組員を乗せ、宇宙という大海原を進む美しい宇宙船と呼べるでしょう。
しかし、大海原である宇宙には、これっぽっちの水も空気もありません。まして、食料も。ですから当然、補給も交換もできません。私たちの乗船している「地球号」に詰め込んである分だけです。しかも予備や非常食はありません。
この地球上に生命が誕生して7億年、そして、人類が誕生して10万年がたち、環境問題などゼロだった世界にある転機が訪れました。それは、いまからおよそ200年前に私の故郷マンチェスターで興った産業革命です。
以来、全世界で絶え間なく続けられている森林伐採、排気ガスやゴミの焼却による大気汚染、オゾン層の破壊、たれ流される工業廃水や生活廃水による河川の汚染、ひっきりなしに起こるタンカー座礁事故による海へのオイル流出……。いま、私たちの住む地球は、悲鳴をあげながら腐り始めているように、私には思えます。
テレビはその国の国民性や関心事を手軽に知ることができる媒体です。海外旅行先でテレビをつけると、歌番組やドラマ、ニューズなどから、その国に暮らす人々を理解する手助けになります。
では、日本の場合はどうでしょうか?
芸能人のゴシップ、人気のブランド商品の紹介、バラエティーにメジャーリーグで活躍する日本人選手のニューズ。これらの番組が悪いなどというつもりはまったくありません。ある意味でなくてはならないものでしょう。
しかし、これらの娯楽番組と比較して、前述の環境問題やその関連ニューズの扱われ方は、お粗末としか言いようがありません。よく見かけるパターンは、テレビの司会者が、芸能人の離婚ニューズをえんえんと伝えたあと、ほんのわずかな間だけ神妙な面持ちで、「オゾンホールが、以前観測されたときよりも一層拡大していることが明らかになりました」と言い、また次の瞬間、笑顔に変身してふたたび流行のファッションの話題に移るといったぐあいです。