The Country of the Working Class
ワーキングクラスの悪循環 - 2
代表的なものにワーキングクラスの悪循環というのがあります。
子どもたちは自分だけの部屋を持たせてもらえないので、静かな場所で勉強できないし、弟、妹がいれば、彼らの面倒もみなくてはならないので、必然的に勉強時間を削らざるをえなくなってきます。そのために学校の成績が下がれば、レベルの高い中学校や高等学校へ入るのは難しくなってきます。しかし教育レベルの高い学校へ行けなければ、将来の可能性もかぎられてきてしまうのです。
もちろん、ワーキングクラスでも大学へ進学する人たちはいますが、次に直面するのが生活費の問題です。
イギリス人は大学に上がると、親元やホームタウンから離れて、独立した生活をしながら学生生活を送るのが一般的です。学生の身で経済的に親から完全に独立するというのは非常に困難です。衣食住だけでも手いっぱいだというのに、そのうえ、テキスト代や交通費、その他諸費用をすべて自力で捻出しなくてはならないとなると、これは並たいていのことではありません。可能なかぎりのバイトをなんとかこなしながら、勉強をすることになります。
学生ローンを組むという方法もあるのですが、大学卒業後に就職できるという保証は何もないので、多額の借金を恐れ、進学をあきらめてしまう人が多いのです。
こうして、ワーキングクラスの親からまたワーキングクラスの子どもができます。これが、ワーキングクラスの悪循環です。